美しい服の着こなしとは?

satohです。現在、アパレルショップ勤務で販売とVMDを担当しております。ここでは、"美しい服の着こなし"を「他者に身体の美的価値が認められ、不安感や不快感を与えないこと」と意味付け、それを目指すために念頭に置いておくべきことを各項目に分けて記しておきます。

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【認められる美的価値】

多くの日本人が"美しい着こなし"に求める身体的な条件には「若さが印象づけられる」「顔が小さい」「全体が平坦」「関節が細長い」「各部位の凹凸や陰影がはっきりしている」が挙げられると考えます。ここでの「若さが印象づけられる」というのはシワやたるみ、白髪など、老いを想起させるような特徴を持たないことで「全体が平坦」というのは、胸郭や腹部などの上肢、転子や大腿・下腿などの下肢に厚みや出っ張りがないことを指し「凹凸や陰影がはっきりしている」というのは皮膚感を指します。換言すれば肥満とは対極にある姿形です。下図は肥満体型で、この状態であれば当然ながら胸部や腹部、下肢に膨らみと出っ張りが見られ、首元や前腕から手の甲にかけては皮下脂肪と皮下水分に覆われ、凹凸や陰影が見えません。

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なぜ、多くの日本人が長身痩躯の着こなしに美的価値を認めるのか、その明確な理由は定まっていませんが、店舗に設置されるマネキンの体型、各ファッションECサイトや、各ファッションブランドのルックに起用される多くのモデルが先述した条件を満たしていて、それを消費者が最適だと考えているからでしょう。

以上を踏まえると先立って取り組むべきは「体脂肪や筋肉を減らす」ことです。脂肪は言うまでもないですが、過度な高負荷トレーニングによって極端に肥大させた筋肉は、衣服を脱いだ時に立派に見えるとしても、服の上からそれを見れば肥満同然であるからです。もし、あなたが習慣づいた負荷の高い運動によって、胸や脚が大きく肥大しているのであれば、精神をすり減らす苦行になりますが、食事制限や運動を以て対処しましょう。

さて、適切に脂肪分を取り除き、自らの骨格がありありと立ち現れてくるとき、一部に新たな問題が立ちはだかる場合があります。

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上図は近年よく言われるようになった二神弓子が考案した骨格3類型で、余程の特殊な身体でない限り、骨格はこれら3つのうち1つに該当するでしょう。骨格の差異は「鎖骨の長さ」と「上肢の厚み」「下肢の厚み」で考えられ、文字に起こすとすれば、以下になります。

・ストレート:鎖骨→長い/上肢→厚い/下肢→厚い
・ウェーブ:鎖骨→短い/上肢→薄い/下肢→厚い
ナチュラル:鎖骨→長い/上肢→薄い/下肢→薄い

一部に立ちはだかる問題とは、ウェーブ・ストレート骨格が先の条件「全体が平坦」「関節が細長い」を満たせないということです。ストレート特有の盛り上がった立体感のある上肢や、ウェーブ特有の顔の大きさと下肢の出っ張りを強調する鎖骨の短さは対処の仕様がなく、これらの傾向が顕著であればあるほど、美的価値は剥落します。この問題を乗り越えるには服装がもたらす錯視効果に頼る他ありません。そして、ここでウェーブ・ストレート骨格が衣服を身にまとう意義を「美的価値を左右する骨格の差異を顕在化させないようにすること」に見出せます。端的に言えば「隠す」ということです。令和以降、体型を拾わないオーバーサイズの衣服が長年トレンドを牽引しています。多くの人々にとって、衣服は他者のまなざしへの配慮を前提に選択されていると考えられ、何もこの意義は筆者個人にとどまるものではないのかもしれません。

【服装がもたらす錯視効果】

改めて、先述した条件を満たす身体が服を着こなすところに美しさが認められますが、ウェーブ・ストレート骨格は先の条件を満たせません。そのため、服装がもたらす錯視効果によって、この問題を乗り越えます。

ストレート骨格の形質は【鎖骨→長い/上肢→厚い/下肢→厚い】であり、顔を小さく見せることはできますが、上下の厚みが全体を平坦に見せ、また、関節を細長く見せることが困難(太い対象を短いと錯視する)なので、身体に密着しない、幅のある全体を覆う服を上下着用することが望ましいでしょう。ウェーブ骨格の形質は【鎖骨→短い/上肢→薄い/下肢→厚い】であり、先述した通り、顔の大きさと下肢の出っ張りが強調されます。そのため、単純に鎖骨の長さを補正する肩パッドを衣服に差し込むか、トップスの袖に溜まりを作ることで顔を小さく、また、パンツの裾に溜まりや広がりを持たせることで下肢の出っ張りが目立たないように見せる視覚誘導を施すことが一応の解消策となるでしょう。これは「エビングハウス錯視」と呼ばれ、中心点の周りを囲う情報の面積を大きくすると、囲われた対象がより小さいように錯視します。

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(※)中央の点は同じ大きさ

ちなみに、髪の量を増やせば増やすほど顔が小さく見えるのも、これが関係しています。顔を中心の円として見立て、周囲に情報量を増やせば中心が小さく見えるというわけです。繰り返しにはなりますが小顔は美的価値を持つ身体の条件です。毛量を増やし、自身の顔の大小や長短を理解しながら、小顔に見える髪型を模索しましょう。厳しければウィッグでも構いません。

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【系統】
服を着こなすにあたって、他者に疑問や不快感を与えないためには「系統」の理解が必要です。各時代で影響力を及ぼすポップスターやミュージシャン、さらには時勢や映像作品によってパッケージ化され、大衆が容易にイメージできる見慣れた服装群が「系統(〇〇系)」であり、それらを理解して服を着用すれば、他者から安心感や視覚的快楽を得ることができます(人は日頃から見慣れているものに安心感を覚える)(単純接触効果)

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系統を4象限で表しました。まずは、用語を全て検索して、イメージと対応させてください。検索してもイメージし難い系統のキャプションは以下に記しておきます。

橙の色付けがされている単語は頭から靴に至るまで、上下のイメージが一応完成されていると考えられるもの、黒字は未完成で解釈の可能性が広く、どちらかというとアイテム単体を指します。アイテムには「属性」があり、属性はそれが元々、どのような用途で用いられていたかを指す〈ルーツ〉と、ファッションシーンにおいてそれがどのように使われていたか/いるかを指す〈トレンド〉から成ります。2枚目の図で線引きした色枠は親和性を表し、枠内であれば、どれをどのように組み合わせても、違和感を生みにくいと考えられます。

一部、数字が割り振られているのはアイテムをひとつの領域に限定できないからです。例えば「スタジャン」の起源はベースボールのウォームアップアウターなので、機能性を重視したスポーツ①に割り振られると思われますが、ファッションシーンにおいては長年、カレッジカルチャー(プレッピーやアイビー)の中で着用されてきた歴史を持つのでスポーツ③に分類できるし、近年ではHIPHOPのシーンでも着用される機会が見受けられるので②にも分類できます。また〈Tシャツ〉や〈カーディガン〉なども、起源は軍服にありますが、柄やサイズ感によっては①にも②にも③にも該当します。
このように、アイテム単体はひとつの系統に限定することができません。

➖各キャプション➖
・ノームコア①:ワーク①/ミリタリー①/スポーツ①/アウトドアのアイテム全般。

・ノームコア②:テーラードジャケットやシャツ → スーツはもちろん、中世ヨーロッパ起源なのでイギリストラッドと親和性が高い。

・ワーク①:デニム(シルエットによっては②にも分類できる)

・ワーク②:ワークシャツ、ワークパンツ/ペインターパンツ/オーバーオール/カバーオールなど。
ルード/スケート/アメカジ/バイカーファッションを見ると、これらが領域横断的に用いられていることが多く、親和性が高い。

・スポーツ①:運動に適した機能性だけに特化した商品全般

・スポーツ②:装飾性の高いスポーツブランドの商品全般(運動の目的を越えて、変形デザインを施したスニーカーや衣服)

・スポーツ③:カレッジカルチャーに関連する商品、つまり上流階層のスポーツに関連する商品全般(テニスやポロ)
ブランドで言えばLACOSTE、FRED PERRY、RALPH LAURENなど。

・ミリタリー①:Tシャツ
または特殊気候地帯での任務に適した機能性アウター全般(近年だとECWCSなど)

・ミリタリー②:ma-1やスーベニアジャケットなど。ma-1は狭い軍用機内で着用するため、スーベニアは所属部隊を視認するためであり、起源は機能性重視の軍モノだが、HIPHOP、ルード、スケート、アメカジ、バイカーファッションに組み込まれることが殆ど。

・ミリタリー③:モッズコートやそれに付属するキルティングジャケット、Pコートなど。起源をミリタリーに持つアイテムだが、長年、プレッピーやアイビーファッションに組み込まれることが多い。BEAMSのスタッフボードのイメージ。

・サーフ/ヨーロッパカジュアル
サーフ系は日本のサーフブランドのルックが提案する服装です。ヨーロッパカジュアルはヨーロッパの街並みに溶け込む成人男性のカジュアルな服装を指します。アイウェアに上下細身のシルエット、夏にはハーフパンツがイメージされ、サーフと近い理由がよく分かるでしょう。日本だと、ソーシャルメディア普及以前の地方の不良中高生を中心として形成される文化の中に見られる服装と言った方がよいでしょうか。https://vogueword.click/archives/2065
ところで、なぜ田舎の不良中高生にこのような服装が多く見受けられるのか、理由は定かではありませんが、日頃、ケンカやスポーツに慣れ親しんでいる彼等の文化背景と、自転車やバイクで実現可能な移動距離と自由に使えるお金といった経済状況を考えたとき、選択されるのが、地方のショッピングモールに入居するスポーツブランドのセレクトショップ(ムラサキスポーツなど)だからだと推測しています。

・モード
厳密にこの言葉を吟味すると何ら実態のない言葉になりますが、現代であれば、多くは黒をベースカラーとしつつ、変形デザインが目立つ服装をモードとしてイメージするだろうと考えています。この黒がベースというイメージはヨウジやギャルソンの影響によるものでしょうか。また、パンクと親和性が高いのは1970年代後半にパンクから派生した「ゴスファッション」の象徴的な色使いが黒であるためです。

https://theshopyohjiyamamoto.jp/shop/pages/look_list.aspx

https://www.redbull.com/jp-ja/the-illustrated-evolution-of-goth-fashion

HIPHOP
アメリカのアーティストたちに端を発します。現在では、各時代に忠実な服装はもちろん、影響力を持つアーティストの再解釈によって幅広いイメージを持つ服装となっています。たとえば、Pharrell WilliamsKanye WestASAP Rockyなど、著名なアーティストがハイブランドの広告塔として起用される流れなどから、関係者やリスナーもそのような価格帯のブランドを身につけるようになりました。故にラグストとの親和性が高いです。また、ルックや歴史を見ると、ミリタリーやスポーツのアイテムが選ばれていることが多いです。

https://www.redbull.com/jp-ja/illustrated-history-of-the-evolution-of-hip-hop-fashion

・ホスト
ヴィジュアル・パンクの服装から髪型(盛り髪)、メイク、そして、モードに見られるフォーマルスーツの装いを崩したスーツの装い(柄ネクタイ、黒シャツ)を継ぎ接ぎしています。現代では盛り髪の廃れや私服出勤の容認などに伴ってホストの様相はこれらとは大きく異なりますが、大多数はホストへの興味関心・理解度は浅いので、これらをイメージするはずです。

ここで関連して指摘しておくと「ある系統の女性はこの系統の男性を好む」と法則立てて服装を組むことについて、筆者はあまり意味を感じません。実際に街中で沢山の女性と関わることはもちろん、インスタグラムのファッションアカウントが投稿している、男女2人組のコーデをたずねるリール動画や、街でスト師とその横を歩く女性の服装や、駅前で待ち合わせをしている男女の組み合わせを観測していると、まるで法則など存在しないことが分かります。あくまで社会的な要請や空気感によってコンサバティブな系統をする、あるいは好むように仕向けられているに過ぎず、本音のところは全く別の系統を好んでいるというケースが多々あります。とはいえ、特殊な文化圏に深く居着く人々に対して、同じ文化圏の人間であることを示すために、特定の系統を選択することが好ましい場合もあります。ある文化への浸り度合いが高ければ高いほど、当人の好みが限定され、排他性も高まるからです。ここでいう特殊な文化圏の具体例として、たとえば、新宿の歌舞伎町をそのように位置付けることができると考えていますが、筆者自身、関西圏の出自なので理解度は低いです。

https://fashiontechnews.zozo.com/culture/chihuahua_sasaki

なお、韓流ブームの発生以降、よく使われるワードとして〈韓国系〉がありますが、これは系統ではなく、韓国のアイドルやポップスターに憧れて髪型や顔立ちをそれに近づけた男性が服を着ているという解釈です。近年であれば、筆者はそのような男性らがグランジ(ウォッシュ・ダメージ加工、重ね着)やノームコア、モードの装いをしているイメージを持ちます。

そして、ここで関連して指摘しておくと〈顔立ち〉は髪型、アイウェア、ヘッドウェア、アクセサリー、タトゥーなど、様々な要素から成り、服装に与える影響はとても強いです。着用できる系統を狭めたり、反対に広げたりします。たとえば、無機質で女性的な顔立ちであればルード、バイカー系を着用すると違和感が生まれますが、その一方で、本来、女性が着用するアイテム(スカートなど)で服装を組み合わせることができたりします。さらに、違和感の生まれる組み合わせが許容される場合があり、たとえば、スーツにバッシュを合わせる黒人がそうです。いずれもハロー効果(顔立ちに強く引っ張られてそれを基にして全体を評価する)に由来します。

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加えて、この効果を利用しているのが「系統の解体」です。古着文化に親しみのある人や服飾学生などに見られる、一見、系統を無視した歪な組み合わせの服装ではあるものの、カルチャーへの浸り度合いの高さが伺えるような洗練された顔立ちによって、その歪さを他者に肯定・容認させる現象です。「そのファッションはあえてやっているんだろう」「あの人だからこそできる」のような、肯定的な解釈を引き出すことができたとき、系統の解体は成立しています。

・解体された系統 ↓

https://www.instagram.com/drop_kansai/

【衣服の生地・素材が他者に与える印象】
衣服は大きく分けると天然繊維か化学繊維のどちらかを用いて作られます。先に断っておくと、この話は突き詰めればキリがないです。しかし、殆どは生地・素材について深く理解していないと考えられるので、ここでは視覚的な違和感を生まないための組み合わせや素材選びの説明程度にとどめておきます。

・光沢感→シワを感じさせない。化学繊維
・乾燥感→シワを感じさせる。天然繊維
・重厚感→重み、厚みを感じさせる。
・軽薄感→薄さ、軽さを感じさせる。

光沢/乾燥からいずれか、重厚/軽薄からいずれかを選択し、両者を掛け合わせます。上に光沢、下に乾燥、上に軽薄、下に重厚、逆も然りですが、このような組み合わせは視覚的な違和感を発生させます。つまり、素材感と重量感を統一させなければなりません。個人の肌質や気候にもよりますが、他者からの評価を求めるのであれば〈光沢×重厚〉の組み合わせを推奨します。人は服のシワに対して怠惰や貧しさを、軽いモノに対してチープさをイメージすると考えられるからです。

【色の使い方】

人間は色の情報を受け取ると、ドーパミンが放出され、視覚的快楽を覚えます。言い換えれば、色を散りばめた服装は他者を魅惑するということであり、ここに色を用いるひとつの意義を見出せるでしょう。また、人間は他者とのコミュニケーションに際して、顔を見ている時間が殆どを占めます。これはマナーや常識といった社会通念、教育の結果ともとれますが、おそらくは生存競争本能によるものです。顔は相手の状態(怒っている/弱っている)を確認できる情報源であり、生存に欠かせません。その本能の邪魔をすると相手に恐怖感や不安感を与えます。そう考えると、色使いのもうひとつの意義を「本能の邪魔をせず顔に視線誘導すること」に見出せます。

適切な色の配分は3配分(柄モノによっては1〜2色増える)で、ベースカラー、アソートカラー、アクセントカラーで考えます。〈ベース60:アソート30:アクセント10〉が黄金比だと考えていますが、厳格に規則立てる必要はなく、多少のズレが発生しても構いません。

先程の意義を踏まえて考えると、人間は2つ以上の情報が目の前にあった場合、より小さい情報に視線が届きやすいので、アクセントカラーに有彩色かつ誘目性の高い色(柄モノも含む)を選択して、それを顔周りに配置して顔に視線誘導を促します。また、装飾性の高いアクセサリーを首元に装着することも顔への視線誘導に有効です。参考例を以下に示しておきます。

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左 : ベースカラーにセットアップの茶、アソートカラーに髪色、鞄、靴の黒、アクセントにTシャツの白赤の有彩色を置く。

右 : ベースカラーに鞄と上下の黒、アソートカラーにベストの白、アクセントカラーにタートルネックの紫を置く。

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左 : ベースカラーにセットアップ、鞄、靴の黒、アソートカラーをTシャツと靴下の白、アクセントカラーにジャケットのアクセサリーの黄色、その他を置く。

右 : ベースカラーにパンツと靴と鞄の黒、アソートカラーにカーディガンとインナーの白、アクセントカラーに赤(緑も少々)

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ベースカラーテーラードジャケット、スキニー、ブーツの黒、アソートカラーにニットのグレー、アクセントカラーにスカーフの黄色。

私見ですが、ベースカラーには明度の低い無彩色を置くことが成人の性的な魅力に繋がるように思います。これは、有彩色が"子供的なモチーフ"(特撮やアニメーションのキャラクター)を想起させるからだと考えています。

【さいごに】
繰り返しますが、着こなしに美しさが認められるには「若さが印象づけられる」ことが欠かせません。そうだとすれば、系統や色を選択するというよりは影響力のある人気の若いインフルエンサーソーシャルメディアの投稿の中で提示している服装の上から下までを寸分違わず模倣する方が適切なのかもしれません。

しかし、提示された服を身につけたとき、自分にとっては骨格の差異を顕在化させてしまうサイズ・シルエットであった場合、また、実物の質感や色彩が画像で認識していたそれらと異なる場合には自ら調整を加えたり、代替アイテムを探さなければならなくなります。そうしたとき、これまでの知識が役に立つように思います。またある時、提示されたパッケージの模倣はまるで自らが大量生産品の一部だと感じることもあるのではないでしょうか。模倣や受け売りといった、他律性に立脚して形成された自己を果たしてあなたは快く肯定することができるのでしょうか。自らの手で何かを選びとるという自律性は、自信や活力を生み出し、己を支えることにも繋がると私は考えています。

そして、各々がこれまで未知だったファッションの世界に足を踏み入れる、このテキストがその一助となれば幸いです。